九州・小倉北九州市立「松本清張記念館」
「松本清張記念館」がなぜ?平和博物館とお思いの方もおられるであろう。記念館の展示は、「展示室1 松本清張の世界 多岐にわたる創作活動の全貌紹介」と「展示室2 思索と創作の城」が常設展示である。筆者が注目したのは、「展示室1」の「推理劇場」である。現代史ノンフィクションの代表作「日本の黒い霧」を題材に、貴重な資料フィルムや写真などで構成されたオリジナルドキュメンタリー映像「日本の黒い霧―遥かな照射」である。80分の長時間の鑑賞であるが、戦後史の謎の解明にむけた松本清張氏の情熱が伝わってくるものである。松本清張ファンならずとも是非とも一見の価値がある映像である。その構成は「①日本の敗戦と松本清張の戦後」、②「帝銀事件」、③「下山事件」、④「松川事件」、⑤「黒地の絵」である。
とくにここで特記したいのは、⑤「黒地の絵」である。松本清張氏が住んでいた小倉での米軍占領下で発生した黒人兵集団脱走を扱った小説「黒地の絵」は、朝鮮戦争さなか、基地小倉で発生した事件を描いた作品である。映像は被害者の女性、当時の警察官であった
証人の証言など生々しい実態を紹介する。現在の沖縄で起こっている諸問題が、基地小倉の地で起こっていた事実、独立をしたとはいえ米軍の支配下にあるなかで、事件報道がほとんどなされない(松本清張氏は当時朝日新聞西部本社広告部の臨時雇い)状況であったことなどを紹介する。鑑賞して感じたことは、基地があるかぎり、二十一世紀になっている現在も50年代とかわらない日本の姿を垣間見たというものである。
橋下徹日本維新の会代表は、朝鮮戦争時にも「慰安婦制度」があったことを発言し、女性団体をはじめ多くの団体から抗議の声があがっていたのは記憶に新しい。諸悪の根源の基地撤去を求めず、女性の尊厳を冒涜するような人物に政治を語る資格はないと、改めて感じた。(K・M)
場所:JR小倉駅 徒歩20分小倉城内
〒803-0813 福岡県北九州市小倉北区城内2番3号 TEL:093-582-2761 FAX:093-562-2303
開館時間
午前9:30~午後6:00(入館は午後5:30まで)
■休館日
年末(12月29日~12月31日)
開館時間 午前9:30~午後6:00 (入館は午後5:30まで)
休館日 年末 (12月29日~12月31日)
観覧料 一般 500円 (団体・年長者利用証:400円)
中・高生 300円 (団体:240円)
小学生 200円 (団体:160円)
※団体料金となるのは、30人以上の団体です。
※福岡市シルバー手帳および下関市健康手帳(65歳以上)をお持ちの方も団体料金になります。
※療育手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は観覧料無料です。付添人の方(障害の程度が1級から4級までの方に付き添う場合に限る。1名まで)も無料になります。
※小倉城・小倉城庭園との3施設共通券もございます。(一般700円 中高生400円 小学生250円)
※松本清張記念館、北九州市立文学館の両館に入館する方には、それぞれが2割引となる共通割引チケットを販売しています。