NO7 真宗大谷派僧侶 村山博昭
私は、真宗大谷派の僧侶として、お参りに伺い、いろいろな人とお話をさせていただいています。人それぞれの人生があり、嬉しいこと、悲しいこと、つらいこと、感動したことなど、本当にいろいろなことがあります。その中で、先の第二次世界大戦を経験された方の多くがおっしゃるのが、「今まで生きてきた中で一番つらかったのが、戦争です。」ということです。この言葉は大変重みがあると思います。しかも日本の場合、ヒロシマ、ナガサキに原子爆弾が投下され、一瞬のうちに死傷者が20万人を超え、都市は破壊されました。戦争でも多くの人の命が失われますが、核兵器が使用されれば、犠牲者の数は比べものにならないくらい多くなります。ところが、世界で唯一の被爆国である日本の政府は、核兵器廃絶に対する後退姿勢を示して、少なからぬ国々から公然たる批判を浴びています。核不拡散条約(NPT)合意にかかわる「核兵器の全面廃絶に対する核兵器国の明確な約束」の表現をあいまいにする一方で、「核なき世界の実現に向けて様々なアプローチがあることを念頭に置く」との表現を盛り込み、核兵器禁止条約に反対する日本の立場を正当化しています。こうした日本政府の後退ぶりが、核兵器に固執する米国への配慮によることは明白です。私は、被爆国にふさわしい非核の政府の実現を強く望みます。正しくない(悪い)ことを行おうとしている個人や団体に対して、正しくない(悪い)ことをやめて正しい(良い)ことを行うように意見を表明することは、宗教者の重要な役割だと思います。これからも、核兵器廃絶を目指して活動する決意です。
以上