「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」についての声明

~核廃絶を究極のかなたに追いやろうとする
岸田首相をはじめG7首脳に抗議します~

2023年5月29日
非核の政府を求める大阪の会 常任世話人会

 被爆地広島で行われたG7首脳会議は5月19日に「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」(以下、「広島ビジョン」といいます)を発表しました。しかし被爆地広島の名を冠したこの「広島ビジョン」は、被爆者の思いを踏みにじり、ヒロシマを愚弄する内容であり、岸田首相をはじめとするG7首脳に対し当会は強く抗議します。

 「広島ビジョン」では「ロシアのウクライナ侵略における、ロシアによる核兵器の使用の威嚇」・「使用」は許されないとし、立場を異にする国の核兵器を批判はしますが、「我々の安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている」(外務省仮訳)と、核抑止論に立ち、自らは核兵器を保有し続けて核廃絶を目指さないことを堂々と表明しているのです。これは、世界で署名・批准が進んでいる核兵器禁止条約にも逆行するものです。

 ウクライナ侵攻以来、プーチン氏は、自国の核兵器は防衛的なもので自国に対する侵略や攻撃を抑止するものであり、西側諸国こそが核の威嚇をしていると、再三述べてきました。G7首脳の主張は、プーチン氏と同じ立場どころか果てしない核軍拡競争を進めるものであり、核廃絶を願う被爆者や世界の人々と敵対するものです。
昨年インドネシアで行われたG20の首脳宣言は、「核兵器の使用や脅しは容認できない」と明記されました。今回の広島ビジョンはこのG20の首脳宣言からも後退したものです。
 岸田首相は被爆地広島選出の国会議員であることから、核保有国と非保有国の橋渡しになるとアピールしてきました。しかし自らが議長となって作成した広島ビジョンは、昨年開催された核兵器禁止条約締約国会議やNPT再検討会議での成果に全く触れず、広島に対する裏切り行為です。核保有国と、非保有国との「橋渡し」になるどころか、核保有国に核の威嚇を続けることを促す、被爆国の首脳として恥ずべきものです。

 核兵器の威嚇に対し核兵器の威嚇で対抗しようとする核抑止論の延長線上には核兵器なき世界はありません。核抑止論を克服した先にこそ核兵器なき世界が訪れます。私たち「非核の政府を求める大阪の会」は、核抑止論の欺瞞性を明らかにし、核兵器廃絶の国内・国際世論をたかめる取り組みをすすめます。

(PDFファイル)

声明は、G7各国大使館(日本は内閣府)に送りマスコミにも知らせました。

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