非核の政府を求める大阪の会《年頭挨拶》
事務局長 豊島 達哉
2017年7月7日に採択された核兵器禁止条約は、2020年10月24日、批准国が50ヵ国に達し昨年1月22日に発効されました。今年はこの条約の締約国会議が3月にウイーンで行われます。
またCOVID-19の世界的流行により延び延びとなっているNPT再検討会議も今月に開催される予定となっています。今年は核兵器廃絶の運動において大きな契機となる年です。
核兵器禁止条約の締約国会議は条約非締約国や非政府機関のオブザーバー参加が認められており、既にノルウェイ、ドイツ、スイス、スウェーデン、フィンランド等がオブザーバー参加を表明しています。とりわけノルウェイ・ドイツはNATO加盟国であり、米国の核の傘の下にある国家です。そして特にドイツはG7の一員としてNATOの中核であり、国内には米戦術核兵器が配備されているアメリカの重要な軍事同盟国です。このようなドイツがオブザーバーとはいえ、締約国会議に参加することは、核兵器廃絶の国際議論を進める上で重要な役割を果たすことでしょう。
しかし本来、核兵器廃絶に向けた国際的議論を主導すべきは、日本であるはずです。にもかかわらず日本政府は核兵器禁止条約への参加も、オブザーバーとしての参加さえもしようとしません。
岸田首相は「核なき世界」を目指すと口にはしますが、その具体的方策を語ろうとはしません。米国の核の傘の下にあることが、オブザーバー参加の障害にならないことはノルウェイやドイツが明らかにしました。遅ればせながらでも唯一の戦争被爆国であり、かつアメリカの核の傘の下にある日本がオブザーバー参加し核兵器廃絶のメッセージを発信するならば、計り知れない波及効果が期待できます。日本は、核廃絶に努めている国際社会において名誉ある地位を占めることが可能なはずです。過ちを改むるにしくはなし。広島一区(原爆ドームや平和記念公園所在)を選挙区とする岸田首相であるならば、今すぐにでもオブザーバー参加を決断すべきではないでしょうか。
私たち非核の政府を求める大阪の会は、政府に対し、核兵器禁止条約への参加、最低限でもオブザーバー参加を強く求めるものです。また今年行われる参議院選挙では、核兵器廃絶を実現する政府をもとめる主権者として多くの方々が適切な選択を行っていただくよう呼びかけ、年頭のご挨拶とします。