巡洋艦レイク・エリーの入港をめぐって

米ミサイル巡洋艦レイク・エリーが4月に大阪港へ入港した際、安保破棄実行委員会、平和委員会、原水協、非核の会の4団体は大阪市に対し入港を認めないよう要請していた。要請書は、1994年の大阪市議会決議「大阪港の平和利用に関する決議」にもとづいて平和の商業港の立場を貫き入港を認めるべきではないこと、核兵器搭載の有無をどう確認しているのかなどが柱になっていた。大阪市からの回答があり、四団体と大阪市港湾局との交渉が5月30日に行われた。

交渉をとおして浮かび上がった問題点は

1、核兵器搭載の米軍機・米艦船は自由に日本に出入りできる核密約が今日でも適用されていること。核兵器の搭載は2010年米核戦略見直しによって、大陸間弾道ミサイル、原子力潜水艦、B2爆撃機に絞られたとはいえ、核戦略が変われば戦艦が核兵器を搭載したまま無通告で日本に寄港する仕組みはそのままとなっている。米海軍の対地トマホークミサイル(巡洋艦レイク・エリーにも発射セルがある)から核弾頭は外された、と発表されているが、2011年のリビア内戦に際して米海軍はトマホークを使用しており、これに核弾頭を装備する可能性は依然として残っている。
2、港湾法はもともと軍艦の入港を前提に作られたものではない。したがって商業港での商船と軍艦を平等扱いすることが妥当とは言えない。また、外務省は、日本の港湾への米艦船の寄港の根拠を日米地位協定第5条にあるとしているが、われわれはこの条項は米軍に「入港料を課さない」という規定であって、入港できるという規定ではない、と解するが、大阪市の見解は明確でない。
3、寄港する船舶が爆発物、火薬、放射性物質、毒物などを積載している場合、許可申請が必要である。大阪港に入港する米艦船に弾薬や放射性物質、劣化ウラン弾などが搭載されていないと確認できるのか、今回米軍艦の入港時に放射線測定を行っていたのか、との追及に明確な回答はなかった。(沖縄での戦闘用ヘリ墜落事故では、回転主翼の亀裂をチェックするセンサーに放射性物質が使用されている疑いがあると地元紙は報じている)

住民の「安全・安心」を担保するというなら、大阪市は94年の平和利用決議・非核自治体宣言を生かし、大阪港への米艦船入港に際しては「非核証明書」の提出を求め、核兵器や放射能から住民のいのちを守るよう強く求めていきたい。

6月13日         非核大阪の会 長尾正典

アメリカの巡洋艦、突然の入港  昨年10月以来、たて続けに 緊急抗議集会を開き 強く抗議しました

4月10日、米海軍ミサイル巡洋艦レイク・エリーが大阪港J岸壁に接岸しました。昨年10月の駆逐艦カーテイス・ウイルバー入港から半年もの間に2回の入港は異例です。これまでの米艦は横須賀を母港とする戦艦でしたが、この巡洋艦は駆逐艦より一回り大きく、探知能力・戦闘能力も向上しておりハワイを母港とし、先日の米韓合同軍事演習に参加した帰路と思われます。搭載するトマホークやSM-3ミサイルは核・非核両用装備が可能で、今回もどちらを搭載しているか不明です。
入港当日、午前8時50分から岸壁横で大阪安保、原水協、平和委員会、非核の会の4団体は緊急の集会を開き、強く抗議しました。

大阪市長に 米ミサイル巡洋艦「レイク・エリー」の大阪港入港許可を認めない要請書を提出

大阪港は、明治以降、国営の国際貿易港として建設された神戸港とは対照的に、大阪市自らが建設・運営に関わった都市港湾の歴史と伝統を持っています。大阪市民が長年にわたって築いてきた財産であり、軍事的使用になじまない商業貿易港として、自治体の権限を発揮できる港です。
1994年10月、27年ぶりに米軍艦が入港したことに大きな衝撃を受けた市民の声を受け、大阪市会は「大阪港平和利用決議」(94.11.9)を全会一致で採択し、「‥大阪港が核兵器持ち込みを拒否する世界に開かれた平和な貿易港として運営されるよう強く要望するものである。」と決議しました。・・・・・要望書

米駆逐艦カーティスウイルバー入港問題で大阪市と交渉・協議

▲昨年10月、大阪港に停泊中のカーティスウィルバー

 

米イージス駆逐艦カーティスウイルバーの大阪港入港問題で、昨年10月に大阪安保、平和、原水協、非核の会が連名で提出していた「大阪港入港許可を認めない要請書」(一、大阪港平和利用の市会決議、平和都市宣言にたって、港湾管理者の権限を。二、米艦入港に際し核兵器搭載の有無を確認すること。三、非核三原則に即した行政をどう進めるか)、に対する大阪市からの「回答」(一、港湾法第一三条第二項、市会決議、平和都市宣言に基づき対処する。二、核兵器搭載の有無の確認は、外務省、大阪米国総領事館、神戸米国総領事館に問い合わせて行った。三、平和都市宣言、市会における諸決議などを踏まえ、市民に平和の尊さを伝え、国際社会の発展と平和に貢献する魅力ある国際平和都市大阪づくりを推進する。)をめぐって一月二八日、ATC十一階の市庁舎で協議・交渉が行われた。市側は港湾局海務課長、総務局総務課長など、四団体側から七名が参加。
市側の回答は、外務省の「カーティスウイルバーには核兵器搭載能力がない」、総領事館の「米国は、艦船・潜水艦・航空機に核兵器を搭載しないことを一般政策としている」という言い分をそのまま回答している。四団体側は「カーティスウイルバーはかつて湾岸戦争時、ペルシャ湾に出撃し劣化ウラン弾を使用していること、魚雷発射管二基搭載し、ミサイル発射セル九〇個を装備しているが、いずれも核・非核両用である。したがって核搭載能力がない、という判断がどこから出てくるのか、軍事常識ではありえない」「外務省や米国領事館に足を運んだことは了としても、米国はNCND政策で臨んでいる以上、他の確認手段が必要」などと追求。 今後、米艦船入港時に核兵器搭載の有無を証明できない場合の入港は許可しないよう強く要請した。

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