第28回年次総会
第28回年次総会記念講演
伊東達也氏の発信『げんぱつ』第297号 2013.12.25Ø
- 今も無人地帯(=避難地域)は1,150km2
- JR常磐線、国道6号線は寸断
- 避難者は14万3千人余
- 避難先の死亡者1,593人(2012.12.7現在)、直接死(1,603人)を上回りそう
- 教育・医療・福祉は深刻
- 沢山の課題をかかえたまま2014年を迎える
- 災害公営住宅建設の遅れを取り戻す
- 雇用と生業の再建・拡大
- 完全賠償の実施
- 低被ばくの健康診断・検査、医療の継続的保障
- いわれなき偏見・差別を広げない
- 汚染水解決など安全で速やかな事態収束
- 除染の促進
- 県内全10基の廃炉
非核大阪の会第28回年次総会記念講演における岩本智之氏レジュメより
福島原発事故後の現状と問題点
若狭原発群で過酷事故が起こったら日本列島を大雪が覆った極寒の二月十五日、非核の政府を求める大阪の会の第二八回年次総会が開催されました。記念講演は上記のテーマで熊取町にある京大原子炉研究所で気象学を研究されてこられた岩本智之氏(当会常任世話人・日本科学者会議大阪支部幹事)に福島原発事故後の問題点について講演をしていただきました。大地震発生時、福島第一原発の一~三号機が運転中であった。地震動のため外部電源倒壊、緊急時のための自家発電機が津波で倒壊とすべての電源がつかえなくなった。また、津波の高さの想定も過去の歴史を学ぶこと無く、低い防壁にしてしまった(想定外の津波の高さは欺瞞)。根拠のない「安全神話」がもたらした人為事故。そして原子炉建屋の内部では最悪の炉心溶融(メルトダウン)からメルトスルーへと進む。未だに止まらない汚染水。安倍首相の「福島の汚染水は完全にコントロール下にある」とのオリンピック誘致の答弁は真っ赤なウソ。
国民・住民生活への影響を小さく見せようとの策動がたえず行われている。高市早苗政調会長の原発事故で死人はでていない、との発言。昨年の十二月現在で、関連死は一五九三人。事故がなければ失われなかった命である。日本政府の発表によれば、放出された放射性物質はヒロシマ二〇発分とのことだが、実際はその三~五倍であったと考えられている。
大飯原発の運転再開強行は許されない
「ストレステスト」はコンピューターのシミュレーションのみで実物の検証はなしであり、福島事故の原因解明も済んでいない段階で「安全だから」再開とは言えない、また大飯をはじめ敦賀、東通、志賀の直下で活断層が見つかっている。最近は地崩れだと言って、活断層ではないとの主張で運転再開を強行しようとしている。
若狭原発事故が起こった場合、どうなるであろうか。福井県の出した資料は、黒く塗りつぶされているものである。隣県の滋賀県の琵琶湖の汚染は関西地方に多大な影響を与えることになる。琵琶湖の水の汚染はいうまでもない危険であるが、滋賀県は琵琶湖の六倍の面積の山林部分が存在し、そこに蓄積された放射性物質は、たえず、琵琶湖に注ぎ込まれていくのである。
日本列島はすべて大地震の「巣」。日本の自然エネルギーのポテンシャルは高い。外国へ原発輸出には熱心だが、その放射性廃棄物は日本に送り返されるのである。「核のゴミ」問題は元首相までも「反原発」の姿勢に変えている。一日も早く原発依存から脱却し、自然エネルギー活用に転換しよう。