原発避難者を受けいれた名護市
「名護市は私たち原発避難者を温かく受けいれてくれました。住宅確保など何かと世話を焼いてくれました。この子の医療費も無料で助かっています。辺野古移設を言い出していますね。原発から逃げてきたのに今度は米軍基地…不安です。稲嶺さんにぜひ勝ってほしい」
小さな男の子を連れたお母さん(福島原発災害に遭い千葉県北部から避難中)が、街頭宣伝での対話中にこう語りました。
稲嶺市長が勝利
このお母さんたちの思いが届き、稲嶺進候補が1月19日(日)名護市長選挙で再選されました。安倍政権と仲井真知事から物心両面の支援を受け、基地再編交付金(わずか10〜15年間の一時金、それに対し基地の耐用年数は200年)で地域活性化をはかると称する末松候補を退けての勝利でした。
チームワークへの信任
稲嶺市長は、この4年間、再編交付金に頼らなくても市の予算規模を拡大しました。先のお母さんがふれた中学卒業までの医療費無料、保育料2人目半額、3人目無料化など名護ブランドともいうべき数々の実績を残しました。前市政ができなかった全小中学校へのクーラー設置や「昭和から平成のトイレになった」と子どもたちに大好評のトイレ水洗化、公民館建設など公共事業も増やし、それらの工事は分離・分割発注をして市内の中小業者の入札機会を増やしました。名護市民はこの市民本位の市政およびそれを実現した稲嶺市長と与党市議団と職員のチームワークを信任しました。
基地拒否の審判
沖縄の米軍基地はすべて、国際法に違反し米軍が銃剣とブルドーザーで県民から土地を強奪してつくってきたものです。それが、昨年12月26日沖縄県史上初めて仲井真県知事が辺野古埋め立て承認という形で基地を受け入れたのです。同日、安倍首相はこの成果をもって靖国神社に参拝しました。名護市民は、知事が安倍政権の重圧に屈したことに危険を感じ、「陸にも海にも基地はつくらせない」とぶれない稲嶺平和市長を選びました。
勝ちとる民主主義
「沖縄公選法」というキーワードがあるように、沖縄県には告示日以降も比較的自由に有権者と対話ができるという「民主主義本来の姿」が残っています。そのためもあり、自動車やキビ畑の中から手を振ってもらったり、頑張ってくれと差し入れをもらったり有権者の反応を肌で感じることができます。これが、沖縄で選挙ボランティアを1回したらやめられない理由です。
私は、一昨年まで選挙ボランティアで2回沖縄に行きましたが、基地反対派の候補者がいずれも惜敗するという残念な結果になりました。それが、今回3度目の正直、10日間の奮闘の甲斐あって稲嶺市長の勝利を目にすることができ、「民主主義は与えられるものでなく勝ちとるもの」という実感を得ました。
今回、大阪平和委員会からは青年学生7名がボランティアに行きました。告示日の12日(日)、朝は稲嶺候補出発式(写真@)への参加、昼は名護市役所での成人式宣伝(写真A)、晩はお手ふりと終日応援をしました。大阪の青年たちが稲嶺市長の勝利に一役買ってくれたことも誇らしく思います。
政府は民意を無視
名護市長選勝利に安住していられません。政府は、市長選で審判が下ったにもかかわらず、選挙の2日後辺野古移設に向け新基地の設計や環境調査などの受注業者を募る入札を公告しました。3月末までに業者と契約し、約1年かけて調査・設計を行い、来春をめどに埋立て工事に着手する方針です。港湾事業の許可権限は稲嶺市長に属するとはいえ、埋立て工事の行方は予断を許しません。
沖縄県知事選は天王山
好戦的な安倍政権は、今後、辺野古移設に向け9月名護市議選での稲嶺与党の転覆、11月知事選挙での基地推進派知事の当選を狙って必死でハードパンチをくり出してくるでしょう。
オリバー・ストーン映画監督など世界の識者・文化人たちが始めた「沖縄の新基地建設に反対し普天間基地の即刻返還を求める」国際署名運動も急速に広がっています。世界の良識と手をつなぎ、ここ大阪でも基地のない沖縄と両選挙必勝に向けた学習運動と取り組みを強めていくことが求められます。(大阪平和委員会事務局長 上羽治雄)
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